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道州制問題 -中身の議論を優先すべき

国を挙げての大がかりな市町村合併が一段落した。そうかと思ったら今度は道州制である。小泉首相の諮問機関である地方制度調査会の専門委員会は、全国の都道府県をいくつかの道州に分けた組み合わせ案を示し、これを軸にした最終答申を出した。
道州制における新潟の立場は複雑である。地理的な事情から、東北ブロック、関東甲信越ブロック、あるいは北信越ブロックに入るという三つのパターンが想定される。この中のどのブロックに入るかで、果たすべき役割や行政サービスの質もちがってくる。自ずとこの問題に関する県民の関心も高まっているのは当然のことである。

しかし、いまの議論は、肝心な部分が抜け落ちていると強く感じる。地方自治の確立を目指す道州制そのものの考え方に異論はない。とはいえ、ブロック分けなどの形の議論が先走っているのではないか。地方への権限や財源の委譲などの中身の議論がおざなりになっているように見えるのである。
道州制の本来の目的は、現行の都道府県制度を廃止し、より広域的な地方自治体を設けることにある。全国を七から十程度の道や州に再編し、道州単位に地方政府を置くのは、地域の特性に合わせた政策を展開できるようにするのがねらいのはずである。
地方自治の確立は憲法でもうたわれている大事な問題だが、実態は国からの地方交付金に頼る「三割自治」の状態が長らく放置されてきた。これをあらため、「地域のことは地域のことがわかっている人たちに任せる」というものなら、新たな制度は地方としてはもちろん大歓迎である。
しかし、地制調の答申にはその点が希薄である点は見逃せない。国が主管するのは外交、安全保障、司法、通貨、金融、先端技術などに限定し、道路、港湾などの社会資本整備制、福祉、教育政策などは地域に任せるという考え方は悪くはない。一方で、地域に任せるはずの事柄について、国の関与の仕組みは「現行制度を維持する」ともしている。これでは新しい枠組みの中で、地方がどの程度裁量権を発揮できるか不透明である。形だけの改革になる危惧もある。

道州制の目的は、小さな政府を実現することにある。これは都道府県制を廃し、道州制を導入すれば一足飛びに問題が解決するというものではない。地方分権そのものは、現行の体制でも進めていかなければならない重要な課題である。
現実には、地方分権の柱に位置づけられる三位一体改革は中途半端な状態にある。義務教育費の地方委譲も実現していない。ブロック分けの議論をしている暇はないのである。まずは現行制度で分権を進めるなど、現実に地方分権を徹底させていくことが大切である。明治以来の大改革を絵に描いた餅で終わらせてはならない。

*この原稿は毎日新聞「発言席」に掲載された原稿です。
*毎日新聞社の許諾のもと、本原稿を掲載させていただいております。

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